遺言は、法律で定められた要件を満たす必要があります。
皆さんの遺志が正しく伝わるよう、遺言書・エンディングノートの作成をお手伝いします。
この遺言は有効? 無効?
映画やドラマでよくある遺言のシーンを思い浮かべてください。
Aさん:家や現金などの財産をすべて書き出し、それを誰に相続させるか、ワープロで明確に書き残しました。
Bさん:遺言を話している自分をビデオで撮影して記録しておこう!
Cさん:全文自筆で「この家は長男に。口座の金は長女に。俺の車は末っ子に。」
Dさん:口頭で「俺が死んだら、財産はお前に全部まかせた、お前にやるから」
答えは、すべて無効です!
(または手続きが煩雑になったり、持分が大きく変わる可能性あり)
解説が気になる方は、お問い合わせくださいませ^^
ちなみに、
遺言書を残しておいたほうがよい場面とは、
・相続人間で確執がある
・子供がいないため妻に全部相続させたい
(遺言がないと、妻だけでなく、被相続人の兄弟姉妹も相続人となる)
・妻も子供もいないが、甥っ子がよく面倒をみてくれたので、甥っ子に財産を譲りたい(遺 贈)
・相続人が誰もいないため、世話になった人に財産を譲りたい(遺贈)
・先妻の子と後妻の子がいる場合
などです。
遺言書の種類
遺言書の種類には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言、そして、特別方式による遺言として、危急時遺言・隔絶地遺言があります。(※危急時遺言・隔絶地遺言は特殊な遺言ですので、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言のみの説明になります)
自筆証書遺言とは、
遺言者が、その全文、日付および氏名を自書し、これに押印することによって成立する遺言です。
自書とは、遺言者が自らの手で書くことをいいます。手が不自由である場合には、足や口で書いた場合にも自書となります。しかし、他人による代筆は、遺言者の口述をいかに正確に筆記したとしても自書とは認められず無効となります。遺言者が文字を書くことが困難な場合に、他人の添え手による補助を受けた遺言は原則として無効ですが、例外的に、他人の補助は、遺言者の手を文頭等の適切な場所に導くまたは軽く支える程度にとどまるものであれば有効となる場合もあります。
ワープロやパソコン、点字機等の機械を使用した場合には、自書とはいえません。テープやビデオなどにより音声を録音する形でした遺言も自書とはなりません。
その他、記載方法、加除訂正方法、押印等法律で決められた形式に沿って作成しなければなりません。
《自筆証書遺言のメリット》
・遺言書作成の費用がかからない
・作成手続きが自分一人で容易にできる
・遺言書の内容を秘密にできる
《自筆証書遺言のデメリット》
・作成の要件が厳格なので、方式不備で無効になることが多い
・遺言者の死後、遺言書が発見されない恐れがある
・相続人により隠蔽、改ざんされる可能性がある
・遺言書の内容に法律上の疑義が発生するおそれがある
・家庭裁判所の検認手続きが必要になる
※作成要件が厳格なので自分一人で遺言書を作成してしまうと無効となってしまう場合が多いので、専門家の適切なアドバイスを受けることをおすすめします。
公正証書遺言とは、
公正証書遺言とは、公正証書によってする遺言です。遺言者は、公証人の前で、遺言の内容を口授し、公証人がその内容を文書にまとめ、公正証書遺言として作成する遺言です。
公正証書遺言は、公証人が作成する公文書です。公証人は裁判官や検察官などを務めた法律実務家が任命されており、その公証人が作成者の意思を欠く認しながら作成する公正証書は、一般的に信用性の高いものといわれています。
作成場所は、原則として公証役場ですが、遺言者が入院中などで外出が困難な場合は、公証人が出張してくれます。
公正証書遺言の原本は公証役場に保存されます。公正証書の原本の保存期間は通常20年ですが、遺言の場合、遺言者が亡くなるまで保存されないと意味がないので、20年経過後も保存されるのが普通です。(相続が開始されたときに、被相続人が公正証書遺言を作成していたかどうかを公証役場で検索することができます。)
《作成方法》
・証人2人以上の立ち合いがあること(行政書士が証人となることもできます)
・遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること(口授するための遺言の作成をお手伝いできます)
・公証人が遺言者の口授を筆記し、これを遺言者と証人に読み聞かせ、または閲覧させること
・遺言者と証人が、筆記が正確であることを承認したうえで、各自これに署名押印すること
・公証人が、その証書が適式な方式に従って作成されたものである旨を付記して、これに署名押印すること
《公正証書遺言のメリット》
・法律の専門家である公証人が関与するので、方式の不備、内容の不備による無効を回避できる
・遺言書が公証人役場に保管されるので、偽造改ざんのおそれがない
・遺言者の死後遺言書の検索が容易
・家庭裁判所の検認手続きが不要
・自筆能力がなくても作成可能
《公正証書遺言のデメリット》
・遺言書の作成に費用が掛かります
・公証人の関与が必要であり、手続きが厳格、証人2名の立ち合いを要する
・遺言書の存在と内容の秘密を確保できない
秘密証書遺言とは
秘密証書遺言は以下の方式に従って作成します。
・遺言者がその証書に署名押印する
・遺言者がその証書を封じ、証書に用いた印章でこれに封印する
・遺言者が公証人1人および証人2人以上の前に上記の封書を提出して、それが自己の遺言書である旨とその筆者の氏名・住所を申述すること
・公証人がその証書の提出された日付および遺言者の申述を封紙に記載して、遺言者および証人とともに署名押印すること
《秘密証書遺言の作成方法》
秘密証書遺言の場合、自筆証書遺言の場合のような「前文の自書」は必要ありません。パソコンやワープロなどでの作成、第三者に代筆してもらうことも可能です。
なお、遺言書本体に、遺言者自身が署名押印することは必要です。証明押印を他人に代わってしてもらうことはできません。
《秘密証書遺言の保管方法》
公証人の封紙への記載により、その封紙は公正証書となります。秘密証書遺言の場合、公証されるのは遺言の存在だけであって、遺言書本体は公証力を持ちません。公証人は、遺言書を保管しないため、遺言書本体の破棄・紛失・未発見のおそれがあります。遺言者は、遺言書の作成の専門家に保管を委託することが望ましいです。
《秘密証書遺言のメリット》
・自筆能力がなくても遺言書の作成ができる
・遺言の存在を明らかにできるため、死後に発見されないなど、隠匿・破棄される危険性が少ない
・遺言書の内容を秘密にできる
《秘密証書遺言のデメリット》
・公証人が関与するため、手続きが厳格で、証人2名が必要
・公正証書遺言ほどではないが作成に費用がかかる
・加除訂正については自筆証書遺言の規定が準用される
・家庭裁判所の検認手続きが必要
自らの思った通りの効果を発揮させるための遺言書を作成するには、遺言書の内容、遺言の書き方など、専門家の力が必ず必要になります。そして、身内には相談しづらいことも、第三者になら話せたりします。
どんなご依頼、ご相談でも誠実に対応いたします。
舘洞 明(TATEHORA AKIRA)
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行政書士シャイン法務事務所
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