会社設立・法人化(法人成り)について

「個人事業」と「法人」の違い

法人と個人事業主ではどんなところが違うのでしょうか。

〇給与所得控除

法人の場合、役員に支払われる役員給与も経費とすることができ、給与所得控除が受けられるので、個人の場合よりも節税効果が見込めるようになります。

例.

個人
500(売上)- 300(経費)= 200(個人の所得)➡(課税対象額)

・法人
500(売上)- 300(経費)= 200(役員給与)- 78(給与所得控除)= 122(個人の所得)➡(課税対象額)

〇法人設立後、最大2年間の消費税免税

・設立時の資本金の額が1,000万円未満であれば、第1期目の消費税は納める必要はありません。

・第1期目の6か月間の売上及び給与支払いが共に1,000万円を超えていた場合、第2期目から消費税を支払う。(売上及び給与の支払い額が共に1,000万円を超えていても第一期目が7か月以下であれば第2期目も消費税は掛かりません)

〇法人の場合、赤字でも法人住民税(均等割)を払う

・個人事業であれば、事業が赤字の場合は事業活動については課税されない。

・法人の場合は、赤字であっても、法人住民税のうち均等割は納税しなければならない。(最低7万円位~)

〇法人の場合、社会保険料の負担が増える

個人の場合、社会保険の適用は任意。

会社の場合は健康保険と厚生年金への加入が義務付けられています。(社会保険料は給与収入に応じて増えますが。将来受け取れる年金が増える)

〇法人税の申告が税理士、会計士でなければ難しい

法人の場合、事務が煩雑な為、税理士等の専門家に決算や税務申告を依頼しなければならずコストがかかる。

〇法人の所得に対する税金の種類

・法人税(国税)

法人の所得に対する国税。法人の一事業年度の収益から経費を控除して算出した所得金額に税率を乗じて計算します。(約23%)

・法人住民税(地方税)

所得に応じて税額が増える「法人税割」と、資本金等の額と従業者数を基準とする「均等割」で構成されている。

・法人事業税(地方税)

都道府県が、その自治体内で事業を営んでいる法人に対し所得金額等に課税する税金です。

以上、簡単にではありますが、法人と個人の違いを挙げてみました。(法人についてがメインとなってしまいましたが。)

個人事業主の方で、ある程度の利益が出ている場合には「法人化」を考えた方が良いかもしれません。

また、これから許認可を取得しようとお考えの個人事業主の方で、「法人化」を考えているという場合。個人で許認可を取得後に法人化した場合、再び法人で許認可を新たに取得しなければなりません。

この様な手間と時間を考えるとまずは、「法人化」をしてから許認可を取得したほうが良い場合もあります。

株式会社」と「合同会社」の違い

法人の種類合同会社株式会社
設立時の登録免許税6万円15万円
定款の認証不要公証人手数料5万円
最低資本金の額1円以上1円以上
資本金の出資者出資者全員が「社員」(従業員の意味ではない)発起人が出資額に応じて株主となる
代表者代表社員代表取締役
社会保険の加入義務義務
役員の任期社員に任期なし(役員登記や変更の費用不要)株式の譲渡制限がある場合は最大10年。無い場合は2年。
決算の公告義務義務義務
認知度やや低い高い
上場出来ない出来る
  • 合同会社の方が設立時の費用が抑えられる。
  • 合同会社と株式会社の税務はどちらも普通法人として扱うため、税金の種類や税率等の税制面には変わりはない。
  • 合同会社の場合、社員(出資者)が経営者となる。株式会社の場合は、株主が選任した取締役が経営を行う。
  • 合同会社の場合、決算公告が必要ない(会社の業績や資産状況を示すための貸借対照表や損益計算書などを官報(国が発行する文書)などで公表すること)。
  • 合同会社の場合、役員任期を定める必要がないため、任期ごとの登記手続きが不要。
  • 株式会社は、株式の発行・譲渡による資金の調達が可能。

以上、「合同会社」と「株式会社」の違いについて挙げてみました。

どちらもメリットデメリットが少なからずあります。

ご自身の思い描いている会社像に一番近い会社形態を選ぶのが良いのではないでしょうか。

【有限責任と無限責任】

有限責任」とは、

出資者は出資額の範囲においてのみ責任を負うというものです。

会社が倒産などにより清算され、残債務がある場合等に適用されるものです。

株式会社と合同会社は有限責任となっています。

例えば100万円を出資した者は、会社が倒産し清算された場合は出資した100万円は返してもらえません。

しかし、その他にも債務があった場合等に債権者から支払い請求されることはありません。

無限責任」とは、

出資額にかかわらず全ての債務において弁済の義務を負います。

個人事業主や合名会社の社員、合資会社の無限責任社員などは無限責任となっています。

会社設立をする際に、有限責任である株式会社、合同会社の方が出資金を集めやすいといわれております。
 
現在では、無限責任を負ってしまうことや、社会的な知名度の低さなどがあり合資会社、合名会社はあまり設立されていません。

資本金1円で会社を作れる?

2006年に施行された会社法により最低資本金制度が撤廃され、資本金1円で会社設立することができるようになりました。

最低資本金制度とは?

株式会社を設立するには1,000万円、有限会社を設立するには300万円の資本金が必要でした。

会社の債権者の権利を保護するために制定されたもので、株主等への最低限の責任として必要とされたのが最低資本金です。

会社法の改正により株式会社制度と有限会社制度が統合され、現在では有限会社は廃止され、有限会社の新設はできなくなりました。

会社法施行前の有限会社については、全て株式会社として取り扱われることとなり、このような会社を「特例有限会社」といいます。

 資本金1円で会社を設立するとどうなる?

資本金は会社の事業を行うための元手となるものです。

資本金が1円だと、事業に必要となる物を買うことができないということになります。

事業でお金を使うためには、社長個人のお金から会社に貸し付けを行わなければなりません。

事業開始時に、元手が全く必要ないという会社はほぼありません。

更に創業融資などを受けたくても融資の審査は通りません。

資本金は、会社の信用度を図る一つの基準とも言えますので資本金1円という会社では信用度はかなり低くなってしまいます。

設立する会社の事業内容によっては許認可を必要とする事業もあります。

許認可を得る要件として資本金の額が決められているものもあります。

1円で簡単に会社設立をできるようになりましたが、行う事業、事業に必要な資金を計画的に考えて資本金の額を設定した方が良いのではないでしょうか。

会社を設立して、事業を行っていくには会社法施行以前と同様に十分な自己資金を元手に始めることが重要になります。

「定款」とは?(会社設立)

「定款」とは、会社の基本的なルールを決めたものです。

会社設立時に作成した最初の定款を「原始定款」と呼びます。

「定款」にはどんなことを記載するの?

定款には3種類の記載事項があります。

 ・絶対的記載事項

定款に必ず定めておかなければならず、1つでも抜けている場合はその定款は無効となってしまいます。

例:
商号(会社の名前)、事業目的(会社で営む事業)、本店所在地、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額、発起人又は社員の氏名・又は名称及び住所、社員全員が有限責任である旨(合同会社の場合のみ) 等

 ・相対的記載事項

定款に必ず記載しなければならないものではないが、定款に記載がない場合は効力が生じない事項。

記載されていない項目については、効力が発生しない。

例: 
現物出資(現物出資をする場合のみ)、株式の譲渡制限に関する定め、株券発行の定め、役員の任期の伸長 等

 ・任意的記載事項

記載がなくても定款が無効になるわけではなく、定款に記載しなくてもその効力が否定されるわけではない項目。

法的に絶対必要ではないが、会社の基本的なルールとして定款に記載しておこうという項目。

例:
総会の議長となる者、取締役・監査役の人数、決算期 等(これらを任意的記載事項として記載した場合その内容を変更するには株主総会で定款変更決議の手続きが必要となります)

まとめ

「定款」は会社の基本的なルールとして最も重要なものとなります。

会社はこの「定款」をもとに運営されます。

一度作成された「定款」を変更するには株主総会の変更決議や手数料なども発生してしまいます。

会社設立時の「定款」作成には専門家のアドバイスを受け慎重に作成されることをおすすめいたします。

【電子定款とは?】

定款には、従来の紙で作成される定款と電子データで作成される定款の2種類があります。
 
そのうち、電子データで作成される定款のことを「電子定款」といいます。
 
従来の紙の定款と「電子定款」の違いは、「電子定款」の場合は収入印紙代の4万円が節約できるという違いがあります。

紙で作成した定款には4万円の収入印紙を張り付ける必要がありますが、「電子定款」の場合は収入印紙を張り付ける必要がありません。

「電子定款」は電子データなので印紙税の対象となる文書に該当しないためです。

「電子定款」の場合でも、定款認証(株式会社の場合等に必要)を受ける際には紙の定款と同様に公証役場に出向いての認証手続きが必要となります。

電子定款を作成するには?

収入印紙代を節約できる「電子定款」ですがどのように作成するのでしょうか。

マイナンバーカード・電子署名付きの住民基本台帳カードの作成

住所所在地の市区町村役場でマイナンバーカードや電子署名付きの住民基本台帳カードを作成します。

次に、家電量販店などでICカードリーダライタという聞きを準備します。

電子証明書の取得

「電子証明書」を取得します。

電子証明書の取得するには、個人の場合は各地方公共団体による公的個人認証サービスが手軽でお勧めの様です。

その他にはセコムトラストシステムズ株式会社等でも取得できます。

上記の各認証機関へ申し込みを行い、本人確認が取れ次第発行されます。(電子証明書とは、紙の定款の署名押印にあたるのが、「電子定款」でいう「電子署名」です。「電子署名」をし、その「電子署名」を本人が行ったことの確認となるのが「電子証明書」です。)

PDF変換ソフト

定款はWordなどで作成し、その後、書き換えができないようにPDFに変換して法務省登記・供託オンライン申請システムというサイトから送信手続きを行う必要があります。

PDFに変換するにはPDF変換ソフトが必要になります。法務省登記・供託オンライン申請システムで動作確認しているPDF変換ソフトには下記のようなソフトがあります。

・Adobe Acrobat DC(Standard,Pro)
上記のソフトはアドビシステム社のサイトや家電量販店などのネットショップから購入できます。

PDF署名プラグインソフト

PDF変換ソフトで定款をPDF化し、PDF署名プラグインソフトを利用して、定款に電子署名を付与します。

PDF署名プラグインソフトは法務省登記・供託オンライン申請システムのサイトからインストールできます。

申請用総合ソフトのダウンロード

法務省登記・供託オンライン申請システムのサイトのダウンロードページから、申請用総合ソフトをダウンロードします。PDF化した電子署名済みの定款を送信するために必要なソフトです。

まとめ

上記のような、機器・ソフトを揃えたうえで「電子定款」を作成し、定款認証を受けることができます。

「電子定款」は紙で作る場合の4万円分の収入印紙代が不要ですが、「電子定款」作成から認証を受けるまでに必要となる機器やソフトを準備するには、費用と時間がかかってしまいます。

ご自身で定款作成する場合には従来通り紙で作成するのか、「電子定款」を作成するのか、一度検討したうえで作成することをおすすめいたします。

定款認証とは?(会社設立)

株式会社を設立する際に作成する定款は公証役場にて定款の認証を受けなければなりません。

会社設立時に作成された定款のことを「原始定款」といいます。

原始定款は作成しただけでは定款としての効力はありません。

公証役場で公証人によって正式な定款として認められて初めて効力を持ちます。(合同会社の場合は、定款の認証は必要ありません。)

公証役場の「公証人」に、定款が正当な手続きによって作成されたと認めることを「定款認証」といいます。

この認証行為は公証人の権限ですので、公証人以外が認証をすることはできません。

定款認証後、法務局へ設立登記の申請を行いますが、公証役場で認証を受けた定款でなければ受理されません。

公証役場は全国にありますが、どこの公証役場で定款の認証をしてもらってもいいというわけではありません。

会社の本店の所在地を管轄する法務局に所属する公証人に認証してもらいます。

公証役場とは?

公証役場は、各都道府県に置かれている法務省・法務局所管の公的機関です。

公証役場には法務大臣から任命された公証人が職務を行っています。

公証人は元裁判官や元検察官等、長年法律関係の実務経験を有していた人であり、認証を与える権限を持っています。

以上、「定款認証」について簡単にご説明させていただきました✎

【事業目的とは?】

事業目的とは会社の行う事業目的のことです。

会社は、事業目的の範囲内で活動できると定められています。

事業目的には、会社設立してすぐに行う事業だけではなく、将来的に行う可能性のあるすべての事業を記載します。

事業目的を記載したからといって必ずその事業を行わなければならないというものではありません。

むしろ、事業目的に記載されていない事業を行おうとする場合、定款に事業目的を追加する手続きが必要となり時間と費用がかかってしまいます。

また、事業を行うにあたって許認可が必要な業種については、事業目的に記載しておく必要があります。

例えば、

・「建設業(500万円以上の工事を行う場合)」
・「宅地建物取引業」
・「運送業」
・「古物商」
・「労働者派遣事業」
・「飲食業」
・「倉庫業」
・「旅行業」 

などです。

この様な許認可を受けるためには、会社の事業目的にその業種の記載があることが条件となっている場合があります。

【事業目的を決める時のルール】

事業内容を決める時のルールは3つあります。

・適法性

公序良俗に反する事業目的は認められません。(詐欺・脅迫など犯罪行為を目的とした事業目的は定めることはできません。)

・営利性

会社は営利目的の組織であるため、ボランティアや寄付などの活動は会社の事業目的とは認められません。(営利を追求しないのであれば、会社ではなくNPO法人等の非営利法人の設立が必要となります。)

・明確性

事業目的は、一般に広く認知された語句を用いて記載する必要があります。

業界用語や新しい言葉などはだれでも知っている言葉ではないので登記ができない可能性があります。

ですので、まずは「広辞苑」などに掲載されているかなどを参考にして、広く使われている言葉を使用しなければなりません。

【記載する事業目的の数は?】

記載する事業目的の数については、会社を設立して必ず行う事業、そして今後行うであろう事業等を合わせて、5~15項目くらいを目安に記載するのが良いです。

事業目的を記載したからといって必ずその事業を行う必要はないのですが、取引先などが登記事項証明書を見たときに、事業目的が多いとあまり良い印象を受けないからです。

「決算月」はいつにする?

個人事業の場合には税金を計算する年度の単位は1月~12月と決まっています。

では、会社はというと決算月を自由に決めることができます。

自由に決められるといってもいつでも良いか、というとそうでもないようです。

会社の事業内容によっては繁忙期がそれぞれ異なります。

この繁忙期を決算月にしてしまうと、仕事が忙しい上に更に決算の準備のための資料をそろえるなどの作業が重なってしまう事になります。

そのようなことにならない為にも繁忙期は避けるべきです。

もう一つは、資本金が1,000万円の未満の会社であれば設立第1期は消費税を納める必要がありません。

消費税が掛からないのであれば、第1期はできるだけ長くとった方が有利となります。

第2期はというと、設立当初6か月間の売上と給与のいずれかが、1,000万円以下であるかどうかにより異なります。

売上と給与のいずれかが1,000万円以下であれば、第2期も消費税は掛かりません。

売上と給与のいずれも1,000万円を超えたとしても、第1期が7か月以下であれば第2期は消費税が掛かりません。

したがって、売上と給与のいずれかが1,000万円以下と予想されれば、第1期はできるだけ長くとった方が有利になります。

1,000万円を超えると予想されるのであれば、第1期を7か月以下とした方が有利になります。

決算月を決める場合は、事業の繁忙期・消費税の免税の措置の期間等を考慮して決めるのが良いですね。

【会社設立に必要な印鑑】

会社設立にあたって印鑑は必要不可欠です。では、必要となる印鑑にはどのようなものがあるのでしょうか。 

・会社代表者印

会社代表者印とは、会社の代表者の印鑑で、会社の印鑑証明書の印影となる「会社の実印」です。

会社の設立手続きで必要となります。

個人の実印と同様に会社にとって非常に重要な印鑑です。

管理には十分に注意が必要となります。

許認可等の申請や契約書等、会社代表者印の押印の場面は多くあります。

・銀行印

銀行印は会社の通帳を作る際などに銀行に届け出る印鑑で銀行手続きに使用します。

必ずしも作る必要はない印鑑なので、会社代表者印を銀行印として使用することもできます。

経理担当者に銀行印を預けるといった場面が考えられます。

安全面を考慮すると、会社の代表者印とは別に銀行印を作っておいた方が良いのではないでしょうか。

・角印

会社版の「認印」のようなものです。

見積書・請求書領収書等に押したり、日常業務に使用します。

必ずしも作る必要はない印鑑ですが、日常の業務に会社代表者印を押すのは偽造や紛失、悪用等のリスクを伴います。

そのようなことを避けて業務を行っていくためにも、「角印」があると非常に便利です。

以上、3つの印鑑が会社設立する際に必要となります。

会社設立時の資本金

資本金は会社設立後、事業を運営していくためのものです。

会社設立時に資本金を一度銀行に預け入れますが、この預けた資本金は自由に開業資金や運転資金として使うことができます。

会社設立当初は資本金を使って会社を軌道に乗せることに集中すると良いです。

資本金はいくらにするのが良い?

会社の規模、業種などにより異なりますが、消費税の課税開始時期などの面から考えると、資本金は1,000万円が一つの基準となります。

資本金1,000万円未満で会社を設立すると、設立1期は消費税が掛かりません。

2期以降は会社設立から6か月間の売上額、給与の額によって消費税免税となるか変わってきます。

会社設立第1期の事業年度開始の日から6か月間の売上若しくは給与額が1,000万円以下の場合は、第2期も消費税免税。
売上若しくは給与額が1,000万円を超えていても第1期が7か月以下であれば、第2期も消費税免税となります。

資本金を設定する目安としては、行おうとする業種にもよりますが、初期費用+設立時から3~6か月程度の経費の額を資本金と設定することが一つの目安となります。

許認可の必要な業種を行おうとする場合は、許認可を受ける条件として資本金の額が決められている場合がありますので、事前に確認して資本金の額を決めるのが良いです。

会社設立後の各種手続き

・法人設立届出書(税務署)

設立した会社の基本的な内容を税務署に知らせるための届出。

必要書類:登記事項証明書、定款のコピー、株主(社員)名簿、設立時貸借対照表。

・給与支払い税務署等の開設届出書

役員報酬や従業員への給与その他士業等への報酬の支払いを開始したことを、税務署に通知するもの。

法人設立時点で、いつから役員報酬や給与等の支払いをするか決めている場合は、法人設立届出書と一緒に提出すると良いです。

・源泉所得税の納期の特例に関する申請書

源泉徴収した所得税は、原則として支給日の翌月10日までに納付しなければなりません。

毎月納付手続きをするのは大変なので、まとめ納付ができる特例です。
※役員や社員の合計人数が、常に10人未満の場合に受けられる特例となります。

(特例を受けた場合の納付時期)
・「1~6月に支払った分」 ➡ 7月10日まで
・「7~12月に支払った分」 ➡ 翌年1月20日まで
この特例は申請書の提出日の翌月から適用されます。(提出された月は適用されません)

・青色申告の承認申請書

一定の要件を満たすことを条件に、法人税の計算上、各種優遇措置を受けることができる制度です。

この制度を受けられるためには会計ソフトなどを備え付け、複式簿記のルールに従って毎月帳簿をつける必要があります。

法人には記帳義務がありますのでしっかりと経理の体制を整え、税金上の優遇を受けられる青色申告にした方が得です。(実際にはほとんどの法人が青色申告の制度を利用してます。)

(青色申告のメリット)
・赤字を9年間繰越し、黒字と相殺できる。
・赤字を前年の黒字と相殺し、税金の還付を受けられる。
・30万円未満の固定資産の取得原価を全額償却することができる。
・消費税課税事業者選択届出書

設立時の資本金が1,000万円未満の場合、通常、設立時1期目は免税事業者となり、消費税の納税義務はありません。

この事は、通常起業家にとっては有利なことですが逆に不利になるケースがあります。


1期目から多額の設備投資を行い、売上で受け取る消費税よりも支払時の消費税が多いケースです。
この差額の還付は免税事業者だと受けられない為、あえて課税業者を選択し、消費税の還付を受ける選択肢が残されています。

・都道府県、市町村への法人設立届

税務署への届出と同様、都道府県税事務所と市町村役場の2か所にも「法人設立届出書」を提出する必要があります。(提出期限は、事実が生じた日から10日以内)

広域振興局:法人の事業等開始等申告書(添付書類:登記事項証明書の写し、定款の写し)

市役所:法人の設立・変更等の申告書(添付書類:登記事項証明書の写し、定款の写し)

・健康保険・厚生年金保険新規適用届

「健康保険」と「厚生年金保険」を総称して社会保険と呼びます。

法人はこの社会保険に必ず加入しなければなりません。

提出期限:事情が生じた日から、5日以内に事業主が行う。
添付書類:登記事項証明書の原本

・法人名義の銀行口座の開設

法人名義の銀行口座を開設後、資本金を法人名義の口座へ移します。

提出書類:口座開設申込書(銀行に備え付けのもの)、登記事項証明書、会社の印鑑証明書、銀行印に使用する印鑑、代表者本人や来店者の身分証明書(免許証等)

・各種契約の変更手続き

取引先などへ、個人から会社に変更になった旨を連絡します。

事務所や店舗、工場等の賃貸借契約書、複合機、機械などのリース契約、水道光熱費関係も個人から会社名義に変更するとともに、引き落とし口座も法人口座に変更します。

・個人時代の確定申告

個人事業を廃止した年の翌年3月15日までに最後の確定申告をします。

ただし、不動産取得(会社に建物を貸す)などがある場合は、引き続き確定申告を行います。

・個人事業の廃業に伴う届出書(税務署)

① 個人事業の開業・廃業等届出書

法人なりにより、個人事業を廃止する場合に提出します。

提出期限:個人事業を廃止した日(通常は、法人設立の前日)から1か月以内。

② 所得税の青色申告の取りやめ届出書

個人事業を青色申告で申告していた場合は、法人なりにより個人事業を廃業する際、提出します。

新しく設立した会社で青色申告を選択する場合にも、この届出書が必要になります。

提出期限:青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日までが提出期限ですが、通常は、「個人事業の開業・廃業等届出書」と同時に届け出ます。

③ 給与支払い事務所等の廃止届出書

従業員や事業専従者に給与を支払っていた場合に提出します。

提出期限:給与支払いを廃止した日から1か月以内

④ 事業廃止届出書(消費税)

個人事業の時に消費税の納税義務者であった場合に提出します。

提出期限:通常個人事業廃止後、他の届出書と一緒に提出します。

⑤ 所得税の予定納税の7月(11月)減額申請書
通常「法人成り」をすると、個人の所得が下がります。

税務署から通知された予納額が多すぎるときに、それを減らしてもらうための申請です。

※自宅の一部を会社の事務所として貸した場合等、社長個人の不動産所得が発生すするので、そのまま確定申告を継続していくことから、①、②、④の届出書は不要になります。

会社設立を行政書士に頼むメリット・デメリット

《デメリットは?》

会社設立を行政書士に依頼した場合のデメリットとして考えられることは、設立費用がかかることです。

では、費用にはどんなものがあるでしょうか。

まず、会社設立には会社の組織・活動について決めた規則が記載された「定款」を作成しなくてはなりません。

この「定款」の作成費用があります。

作成費用は各行政書士事務所により異なります。(安ければ安いなりのサービス、高ければ高いなりのサービスを受けられます)

稀に見かける格安(あるいは無料)料金で会社設立をできるというものもあります。格安には格安の理由があります。

料金だけで依頼する事務所を決めてしまうのはあまりお勧めしません。

費用としてかかるものとしてもう一つが、会社設立の登記にかかる手数料があります。

登記は行政書士はできませんが、提携している司法書士が登記手続きを行います。

登記手続きの費用には、登録免許税と司法書士の報酬料金があります。

行政書士に「会社設立」を依頼した場合のデメリットとしましては、全てご自身で「会社設立」を行うよりも費用がかかってしまうということです。(費用には、定款認証や収入印紙などもありますがここでは省略いたします)

《メリットは?》

では、行政書士に依頼する場合のメリットにはどのようなものがあるでしょうか。

私の考えるメリットは3つあります。

行政書士は「許認可」の専門家です。

個人事業から法人成りした場合、法人で新規の許可が必要なとなります。

行政書士に会社設立を依頼すると、会社設立~法人の許可取得までワンストップで行うことができます。

時間短縮になり、スムーズに許可取得が可能です。

二つ目は、「会社設立」に必要な知識を一から調べなくても良いということです。

ご自身で「会社設立」を行おうとする場合、「会社設立」に必要な知識を調べる時間が必要になります。

更に、ミスなく書類作成を行い、各役所への手続きをご自身で行わなければなりません。

これには、相当の時間が必要となります。

では、行政書士に「会社設立」を依頼した場合はどうでしょうか。

まず、依頼者は行政書士に設立したい会社像を伝えます。

あとは、行政書士が書類作成、他士業との打合せ等全て行ってくれます。

依頼者はその空いた時間を今後の会社経営のための準備に使うことができます。

費用はかかりますが時間を買うという考え方で、全てご自身で行うのではなく専門家に任せるところは任せ、会社経営に専念するという考え方も経営者として必要になってくるのではないでしょうか。

三つめは、「人脈」です。

行政書士は「会社設立」をはじめ、各種許認可手続きのご依頼を受けるのは会社の経営者が多いです。

行政書士には「経営者」との繋がりがたくさんあります。

これから、会社を立ち上げるにあたって「人脈」は必要不可欠ですので行政書士を利用して「人脈」を広げるのも良いのではないでしょうか。

更に、行政書士は登記に関しては提携している司法書士と連携して行いますので、司法書士と繋がりのある「人脈」も利用することができるかもしれません。

また、「会社設立」後に必要となる税務管理の専門家である、税理士とも繋がりがあります。

依頼者に知り合いの税理士等がいない場合、信頼できる税理士を紹介してくれます。

以上、行政書士に「会社設立」を依頼する場合のメリット・デメリットでした。

会社設立料金一覧

【会社設立料金一覧】料金(税込)
株式会社設立368,980円
(内 訳)(内 訳)
定款作成料110,000円
定款認証手数料51,980円
登記手数料150,000円
司法書士手数料57,000円
合同会社設立205,000円
(内 訳)(内 訳)
定款作成88,000円
登記手数料60,000円
司法書士手数料57,000円

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